物流・在庫管理の川上から川下まで

自分の業務経験を通して、物流・在庫管理について学んだことや物流関連のニュースなどで気づいたことを記していくブログです

【在庫管理とシステム】(2)

■在庫管理システムの変遷

前回の投稿の最後で触れた「在庫管理システムを使いこなすためのポイント」について、今回もう少し詳しく触れてみたいと思う。
在庫管理の作業のスタートは、これまでも書いてきたように正確な在庫カウントである。その在庫カウントのやり方は、古くは目視で物品の在庫をカウントして紙に記録し、それを在庫台帳に転記するというやり方が長らく続けられてきた。
1990年代途中からパソコンを業務で使用することが一般的になり、在庫台帳はEXCEL、そして在庫管理システムの中で運用されるようになり、様々な計算や予測作業が自動で行われるようになってきた。これと同時に在庫カウントのやり方も変わってきていて、目視でのアナログのカウントのやり方から、バーコードやICチップを活用したやり方が取り入れられるようになってきた。

■在庫カウントの自動化の壁
このように時代とともに発展してきた在庫管理の手法だが、在庫カウントのやり方については、進化はしているもののなかなか超えられない壁があると個人的には感じている。というのも、結局のところ在庫カウント作業にはどこまで行っても一定のアナログ作業がついて回る部分があるためである。
たとえばバーコードで在庫管理をする仕組みを考えてみよう。在庫の1箱ごとに正しいバーコードがついている前提であれば、そのバーコードを入庫時や棚卸時にバーコードリーダーで読みこめば、理屈の上では常に正しい在庫カウントを行うことができる。だが、現実的には流通する商品の数が多ければ多いほど、1箱ずつのバーコードをリーダーで読みとっていく作業というのは現実的ではない。山積みになっている商品の箱はすべてバーコードが外側に向いているとは限らず、箱1つずつを読み取って行こうとすると、商品の山を崩して内側にあるバーコードを読み取るという作業が発生してしまう。それができないとなると、結局のところ目視でカウントしてバーコードリーダーに手入力で数量を打ち込むという作業をしている現場も多い。
バーコードではこの壁が超えられないため、非接触のICチップでカウントをするというやり方ならばこの問題はクリアできるはずだが、非接触での読み取りの精度の問題や、ICチップが使い捨てになってしまうというランニングコストの問題から、ICチップによる管理もさほど普及していないという課題がある。
(ただし、大手企業の大規模倉庫であれば、ICによる管理がもう一段進んでいるかもしれないが、それができるのはごく一部の超大規模企業と考えられる)

■アナログ作業とのつきあい方
現実問題として、在庫管理はアナログ作業との縁は切っても切れない面があることは否定できない。中小規模の企業や倉庫・店舗であればなおさらである。このため、完全な自動化作業などはできないわけだが、その中でもアナログ作業をできるだけ正確に、かつ効率的にやるための工夫は常に求められる。大企業と同じことはできなくても、工夫次第で作業の改善はいくらでも考えられるものだと思う。