物流・在庫管理の川上から川下まで

自分の業務経験を通して、物流・在庫管理について学んだことや物流関連のニュースなどで気づいたことを記していくブログです

物流と人手不足の課題(その2)

■BtoB物流の現状
前回、宅急便を例としたBtoC物流についての考えを記載したが、今回はBtoBの物流の現状について書いてみたいと思う。
実は、自分の現在の仕事でも物流関係の取引先があり、現在も来年度からの委託業務に関して契約の交渉をしている。もともと3つのルートの配送をそれぞれ別の物流委託先の企業と契約していたのだが、最近そのうちの1社が事業を継続できないということで撤退してしまい、その分の業務を残りの2社のうちの片方に委託したのだが、比較的急なお願いだったため割高な条件でしかお願いすることができず、当社としての大きなコスト増につながってしまった。
現状では物流の委託先は様々な企業にとって奪い合いの状況であり、構図としては物流を請け負う企業の方が立場が強い状況であり、物流業務を委託する側としては非常に厳しい交渉を迫られる時代になっている。

■物流企業側の厳しさ
業務委託の価格交渉の場面では物流企業側が有利な状況になっていると書いたが、物流企業側も決して余裕のある状況ではないだろう。前回書いたようにあらゆる業種において人手不足が発生している状況だから、必要なドライバーの人数を確保するのも容易なことではない。物流の需要はどんどん上がっている状況なので、需要に対するドライバーの供給量は決して十分ではない。物流企業にとってのドライバーの奪い合いは企業の存続をかけた争奪戦となっていると想像できる。
また、課題は決して人材確保だけではなく、ガソリンの値上りをはじめとして事業に必要な費用はどんどん上がる傾向にある。いくら売り手有利な状況とはいえ、それらのコストをすべて価格に転嫁できるわけではなく、収益を維持していくのも簡単なことではないだろう。

■物流とインフレ
物流に関しての需給バランスと円安や人手不足の状況を考えれば、物流に関する価格設定が上昇傾向になることは避けられないだろう。今の日本ではあらゆるものが値上りしていてインフレ傾向が続いているが、モノの値段に限らず物流のようなサービスの価格も当然上がっていく。物流を委託する側の企業としてはコスト要因になってしまうわけだが、ある程度の価格上昇は受け入れざるを得ないのが現実だろう。
自分の会社でも、荷物の荷姿の変更や物流ルートの見直しなど、コストアップを抑えるための工夫をいろいろと考えている。物流に関する委託側と受託側がお互いに知恵を出し合って事業継続していけるように協調していくことが求められる時代になっていると感じる。

【コラム】物流と人手不足の課題

■日本の人手不足問題はまだ入り口
昨日の日経新聞の社説で人手不足についての記事が出ていて、今は社会機能を守るための大変革の時との記載があった。2020年時点で7509万人だった15~64歳の生産年齢人口は、2040年には6213万人まで減ってしまうとのことだ。率にして20%近くも減少することになる。
今の時点ですでに日本は十分すぎるほどの人手不足に陥っているが、ここからさらに20%近くも生産年齢人口が減ってしまい、それがわずか十数年後にほぼ確実に実現してしまう未来ということである。社説の中で「足りない人手をロボットやAIで補う発想ではなく、テクノロジーで処理できない仕事だけを人が担う考えに転換しなければならない」とあったが、まさしくそのとおりであり、根本的な発想の転換が求められているのが今の日本の現状だと思う。

■人手不足と宅配事業
物流業界にとっても、当然これは避けては通れない課題である。今日はBtoBの物流ではなく、BtoCの宅配事業に絞って文章を書こうと思うが、コロナ禍の影響もあって宅配の需要は大幅に伸びていて、宅配の企業はその需要に応えるべく苦心しながらも宅配事業を何とか維持してくれているものの、従来と同じ枠組みでやっていたら、遅かれ早かれ限界点に達することだろう。
おそらく配送の仕事は、前段で書いた「テクノロジーで処理できない仕事」に属する部類の業務だと考えられる。ドローンによる配送の研究もされているが、日本の住宅事情を考えると実現できたとしても限定的な配送に限られてしまい、大部分の配送は人手による物流に頼らざるを得ない状態が続くだろう。もっとも、部分的にでもドローン配送などのテクノロジーでカバーできるところはカバーして、人手の配送の量を減らしていくことはとても大切なことではあるが。

■ラストワンマイルは宅配企業側だけの課題なのか?
もともとは通信業界で使われていた言葉で、今はほぼ物流用語として使われている言葉として「ラストワンマイル」という言葉がある。「物品が物流の最終拠点からエンドユーザーに届くまでの区間」を意味する言葉であり、まさしく物流の人手不足問題における最大のポイントとも言える。
このラストワンマイルを担う人材の確保がどんどん厳しくなる中では、遅かれ早かれ宅配サービスの品質は徐々に低下していくことは避けられないであろう。宅配を担う側の企業努力だけではもはやどうにもならない課題だと思う。現実に郵便のサービスは土日の配達がなくなるなど、顧客の我々がサービス品質の低下を受け入れざるを得ない状況がすでに発生している。
日本の人手不足の現状を考えた時に、顧客側もいつまでも「お客様は神様です」的な感覚でいてはいけないと個人的には感じる。サービス品質が落ちるのは嫌だけど高い代金も払いたくないという感覚ではもはややっていけない。現状や背景を考えてある程度のサービスの緩和を受け入れたり、宅配に関して言えば顧客側がロッカー受取りサービスをより積極的に活用するなど、サービスの提供側と受け手側が一体となって人手不足の課題に立ち向かっていく必要があると思われる。

【在庫管理とシステム】(2)

■在庫管理システムの変遷

前回の投稿の最後で触れた「在庫管理システムを使いこなすためのポイント」について、今回もう少し詳しく触れてみたいと思う。
在庫管理の作業のスタートは、これまでも書いてきたように正確な在庫カウントである。その在庫カウントのやり方は、古くは目視で物品の在庫をカウントして紙に記録し、それを在庫台帳に転記するというやり方が長らく続けられてきた。
1990年代途中からパソコンを業務で使用することが一般的になり、在庫台帳はEXCEL、そして在庫管理システムの中で運用されるようになり、様々な計算や予測作業が自動で行われるようになってきた。これと同時に在庫カウントのやり方も変わってきていて、目視でのアナログのカウントのやり方から、バーコードやICチップを活用したやり方が取り入れられるようになってきた。

■在庫カウントの自動化の壁
このように時代とともに発展してきた在庫管理の手法だが、在庫カウントのやり方については、進化はしているもののなかなか超えられない壁があると個人的には感じている。というのも、結局のところ在庫カウント作業にはどこまで行っても一定のアナログ作業がついて回る部分があるためである。
たとえばバーコードで在庫管理をする仕組みを考えてみよう。在庫の1箱ごとに正しいバーコードがついている前提であれば、そのバーコードを入庫時や棚卸時にバーコードリーダーで読みこめば、理屈の上では常に正しい在庫カウントを行うことができる。だが、現実的には流通する商品の数が多ければ多いほど、1箱ずつのバーコードをリーダーで読みとっていく作業というのは現実的ではない。山積みになっている商品の箱はすべてバーコードが外側に向いているとは限らず、箱1つずつを読み取って行こうとすると、商品の山を崩して内側にあるバーコードを読み取るという作業が発生してしまう。それができないとなると、結局のところ目視でカウントしてバーコードリーダーに手入力で数量を打ち込むという作業をしている現場も多い。
バーコードではこの壁が超えられないため、非接触のICチップでカウントをするというやり方ならばこの問題はクリアできるはずだが、非接触での読み取りの精度の問題や、ICチップが使い捨てになってしまうというランニングコストの問題から、ICチップによる管理もさほど普及していないという課題がある。
(ただし、大手企業の大規模倉庫であれば、ICによる管理がもう一段進んでいるかもしれないが、それができるのはごく一部の超大規模企業と考えられる)

■アナログ作業とのつきあい方
現実問題として、在庫管理はアナログ作業との縁は切っても切れない面があることは否定できない。中小規模の企業や倉庫・店舗であればなおさらである。このため、完全な自動化作業などはできないわけだが、その中でもアナログ作業をできるだけ正確に、かつ効率的にやるための工夫は常に求められる。大企業と同じことはできなくても、工夫次第で作業の改善はいくらでも考えられるものだと思う。

【在庫管理とシステム】

■かつては紙でやっていた在庫管理

かつて私が店舗での在庫管理を担当していたころは、まだWindows95が発売されて間もない頃であり、EXCELでさえまだまだ普及していない時代だった。当時は店舗の在庫数や納品数はまだ紙の方眼紙に数を記入して記録を取っていたぐらいだったが、在庫管理を担当するようになって1~2年後に会社で在庫管理のシステムが新たに導入され、パソコンで入力した在庫数や納品数がシステムに反映されて自動計算されるようになり、その時は「これで仕事のやり方が劇的に変わる!」と感激したことは今でもはっきりと覚えている。

■様々な在庫管理アプリ

時が流れて、現代では在庫管理のアプリを様々な企業が売り出していて、検索してみると何パターンもの在庫管理アプリが出回っていることがわかる。内容も価格も千差万別だが、安いものだとサブスクリプションで月額1000円もかからないようなアプリが出回っている。
これらのアプリを実務として私が使っているわけではないので、どれが良くてどれが悪いという話をこのブログの中でするつもりはないのだが、基本的にどのアプリも在庫や入庫数のカウントをどれだけ正確に行ってシステムに反映させることができるかというのがシステムを活かすうえでの最大のポイントになることは変わらないと考えられる。

■在庫管理アプリを使いこなすためのポイント

在庫管理アプリを使いこなすために必要なポイントというのは、これまでにブログで書いてきたポイントと変わらないと思っている。特に重要なのは正確な棚卸の実施と、そのデータをシステムにきちんと反映させることである。
大企業であれば、在庫管理システムをIT担当の部署や外部のコンサルティングがゼロから構築するということもできるのだが、規模の小さい中小企業になると、なかなかそこまで大胆な投資は難しい。ただ、上記の通り今は様々な在庫管理システムが世に出回っていて、しかも個人でも払えるレベルの金額で活用することができる。一方で、導入するところまでは出来ても、それを会社の業務でしっかりと使いこなすためには、在庫管理の基本動作がきちんとできていることが前提条件となる。
どのような優れたシステムであっても、在庫管理の前提となる在庫数や納品数を正確にシステムに反映させることができなければそのシステムは機能しない。バーコードやICタグを使うことで在庫や納品数を正確に把握できると謳われているシステムもたくさんあるが、そのバーコードやICタグを使うオペレーションの構築は結局ユーザー側が自分たちで考えて構築しないといけない。
(市販のシステムの中には、在庫の重量を測ることで在庫数を確認するという仕組みのものもあったが、これだって物品ごとの重量の登録など、実際に機能させるにはかなりの手間をかけなくてはいけないと見込まれる)

在庫管理システム自体を悪く言うつもりはないのだが、システムを導入しただけで何もしなくても在庫や納品数量を正確に把握することができて、翌日の発注数も自動で計算されるわけではない。優れたシステムを使いこなすためにも地道な作業や検証が求められることになる。

【コラム】2024年問題に向けてできること

■期限まで1年を切っている2024年問題

最近ではニュースや経済番組でも「2024年問題」という言葉がよく聞かれるようになり、物流や運輸業界の人でなくてもこの言葉を知っている人も多くなってきた。
働き方改革関連法によって2024年度から自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることになるが、それによって発生する様々な問題の総称が2024年度問題と呼ばれている。もともと長時間労働を暗黙の了解として認めてきた運輸業界にこの規制が適用されることで、荷主からすれば物流費が高騰したり、そもそも委託できる業務量や業務先が減少あるいはなくなってしまうなど、大きな影響が出ることが予測されていて、荷主企業・物流企業の双方が対応に苦慮している。

2024年度問題の中身については多くのサイトで様々な情報が発信されていて、その問題の深刻さがうかがえる。私が勤めている企業も様々な点で物流との関りがあり、少なからず影響が出ることが予想されているため、関係部門ではその対策を急いでいる状況である。ただ、2024年度問題で一気に表面化してきたものの、そもそも物流業界にはこのままやっていたらいずれ行き詰まるという課題認識は当事者の間ではだいぶ前からあったように感じている。

AIの活用や様々な技術革新によって、直面する課題を解決していくことはもちろん重要だが、そのような大規模でお金も時間もかかる対策は大企業でないとなかなか具体的に踏み切れないというのも現実であろう。そんな中で、私が「これは素晴らしい取り組みだ!」と感じた事例があったので、一つ紹介したい。

■「コネクトエリア浜松」の取り組み

東京と大阪のほぼ中間に位置する新東名高速浜松SAに隣接する場所に、「コネクトエリア浜松」という施設がある。NEXCO中日本遠州トラックが共同で管理・運営する施設だが、この施設では東京と大阪から来たトラックどうしが、お互いの積み荷を交換することができる。どういう仕組みかは下のリンクから見てもらいたいが、現在の物流業界の課題に大きな改革をもたらす素晴らしい取り組みだと感じる。

コネクトエリア浜松 (ca-hamamatsu.com)

 

■大がかりな技術革新以外にもできること

サイトを見てもらってお分かりの通り、この仕組みはさほど複雑なものではなく、説明すれば子供でもすぐ理解できるような単純な仕組みである。ところがこの仕組みを利用することで、東京-大阪間の物流を多く抱えている企業にとって、ドライバーの負担や諸経費の削減の効果たるや絶大ものだと想像される。
東京ー大阪間の輸送を一人のドライバーで対応しようとすると、片道で5~6時間、往復では確実に12時間を超える拘束時間となり、それだけで労基法に基づく1日の労働時間を確実に超えることになるが、もし東京を出発したトラックが浜松のコネクトエリアで荷物を積み替えて東京に戻ることができれば、早ければ東京ー大阪間の片道分の時間ぐらいでその日の業務を片づけることができることになり、そのうえで自宅でしっかりと休むことも可能になる。

AIを活用した物流の再編や自動運転技術の進化などは、いずれ物流業界にも大きなプラスの変化をもたらしてくれるのは間違いない。ただし、単独の企業で実現できるようなものではなく、大幅な技術革新や社会インフラの整備なども求められるものであり、実現にはそれなりの時間とコストがかかる。少なくとももう1年を切った2024年度問題の発生までに劇的な貢献を期待するのは難しいだろう。
そんな中でも、このコネクトエリア浜松のようなシンプルだが効果のある取組みを進めたり、物流企業がこのような仕組みを積極的に活用することで、2024年度問題を含む直面する課題を少しずつでも打開していくことは、これから先の物流業界において非常に大切なことのような気がしている。

食材在庫管理の3つのポイント ~③先入れ先出しの徹底~

■使用期限切れ廃棄を避けるために

消費期限(賞味期限)が来てしまった食材は、当然ながら飲食店舗では使用することは許されず、廃棄するしかないというのが一般的なルールである。せっかくコストをかけて購入した原材料を店舗の営業活動に活用することなく廃棄しないといけないのは非常にもったいないことであり、経営的にも痛いことになるので、何としても避けなければならない。

■食材管理の基本ルール=先入れ先出し

使用期限切れ廃棄を出さないためには、これまでに書いてきた販売予測や精度の高い棚卸などを確実に実行する必要があるが、これらと並行してもう一つ徹底してやらないといけないのが、「先入れ先出し」の基本ルールの徹底であろう。

先入れ先出し」は使用期限の古いものから順番に使っていくというごく当たり前の話であり、先の2つのポイント以上に普通にできないといけないことである。確実に実行するためには、食材の入荷時の整理のやり方を明確にルール化してそれを遵守していくことに尽きる。

自分が食材管理を担当してた時には、食材が入荷した際にはもともと棚にあった食材をいったん除けて、新しく入荷した食材を一番奥に配置してからその手前に元あった食材を戻すという運用をしていた。食材管理に厳しい現在では、おそらくどの飲食店舗でも似たような運用をしているであろう。

この運用を徹底していくためにも、管理に関わる担当者全員がこのルールを共通して認識していることと、ポイント②と同様に食材保管の棚がきちんと整理されていることが必須である。やはり事業活動を実施していくうえで、整理整頓がしっかりとされていることは、あらゆる意味で大切なことだと考えられる。

 

余談だが、仕事でこの運用を叩き込まれた自分は、プライベートの買い物でも棚の奥から使用期限のより長いものを引っ張り出して購入するということは絶対にしない。スーパーの食品コーナーで棚の奥に手を突っ込んで少しでも期限の長いものを購入しようとしている人をよく見かけるが、苦労して並べ替えをしてくれている店舗の人のことを考えると、あまり気分のいいものではない。

食材在庫管理の3つのポイント ~②確実な棚卸=在庫数量の把握~

食材在庫管理における重要なポイントとして、

①精度の高い販売予測
②確実な棚卸=在庫数量の把握③先入れ先出しの徹底

の3点を挙げているが、今回は②の確実な棚卸=在庫数量の把握について書いてみたいと思う。

 

■発注の前提としての在庫数の把握
一つめのポイントとして「精度の高い販売予測」を挙げたが、仮に完璧な予測ができたとしても、その前段階で現時点での店舗にある在庫を正確に把握できていないようでは、在庫管理は成り立たない。発注をする際には現時点での店舗在庫がどれだけあるかを正確に把握して、その数量にどれだけの数を上乗せすれば翌日以降の販売数が足りるのかを判断して発注数が決定される。そのため、発注の前提となる在庫数の把握にミスがあれば、結果的に翌日以降の在庫が不足したり逆に過剰になってしまったりすることが起こり得る。この在庫数の把握作業のことを『棚卸』という言葉で呼んでいる。

■発注の前提としての在庫数の把握
一つめのポイントとして「精度の高い販売予測」を挙げたが、仮に完璧な予測ができたとしても、その前段階で現時点での店舗にある在庫を正確に把握できていないようでは、在庫管理は成り立たない。発注をする際には現時点での店舗在庫がどれだけあるかを正確に把握して、その数量にどれだけの数を上乗せすれば翌日以降の販売数が足りるのかを判断して発注数が決定される。そのため、発注の前提となる在庫数の把握にミスがあれば、結果的に翌日以降の在庫が不足したり逆に過剰になってしまったりすることが起こり得る。この在庫数の把握作業のことを『棚卸』という言葉で呼んでいる。

■正確な棚卸のために必要な棚の整理
正確に、かつ早く棚卸を進めるためには、数える対象となる在庫品を常に数えやすく整えておく必要がある。これができていないとカウントミスが起きたり、棚卸作業に無駄な時間がかかってしまう。
整理のやり方としてまず大切なのは、食材の種類ごとにしっかりと分類して置いておくことが何よりも重要である。異なる種類の食材が混在していれば、当然在庫のカウントに時間もかかり、正確にカウントすることも難しくなる。また、同じ種類の食材を固めておくだけではなく、カウントする際に全体が見えやすいように箱をきれいに積み重ねておかないといけない。
整理整頓は、仕事をする上でのあらゆる場面で大切にしなくてはいけないことではあるが、この棚卸においてもきわめて大切なことであり、これをやっておくことで在庫管理の質とスピードを格段に上げることができる。

■バーコードやICタグを活用した棚卸作業
2000年前後の今の会社への入社当時に在庫管理担当をしていたころは、店舗の食材の棚卸はアナログで数量をカウントをして、紙に書いた食材リストにその数をメモして、その数を基に出数予測や発注作業を行っていたが、数年後にはバーコードリーダーが導入されて、食材についているバーコードシールをバーコードリーダーで読み取って在庫をカウントする形になった。これによってヒューマンエラーの確率は下がったものの、結局目視で確認しないといけない作業もまだまだ残っていた。
IT技術によって様々な作業は効率化が進んでいるが、とは言え正確な在庫数の把握のためには、日ごろからの整理整頓とそれに付随する正確な作業が必要なことは、今でも変わりはないのである。

次回、3つ目のポイントの「先入れ先出しの徹底」について書いていきたい。