物流・在庫管理の川上から川下まで

自分の業務経験を通して、物流・在庫管理について学んだことや物流関連のニュースなどで気づいたことを記していくブログです

社会人としてのキャリアのスタート ~飲食店での発注・在庫管理の経験~

■思いがけず発注・在庫管理の仕事を任される

1999年の4月に新社会人になってすぐ、自分は飲食店で勤務することになった。最初、飲食店では接客サービスの仕事が中心になると考えていたが、自分が配属された店舗で、たまたま食材の発注担当の社員が自分の配属と同時に不在となってしまい、配属されてすぐに店長から「しばらく発注と在庫管理の仕事の穴埋めをやってくれ」と言われてこの仕事を担当することになった。

接客の仕事であれば、何となくどのようなことをしなければいけないのかイメージがついたが、発注・在庫管理と言われても何をどうしたものがさっぱりわからない。店長からは、近隣の別の店舗に詳しい人がいるから、まずはその人の下でどんな仕事をすればいいのか学んでくるように言われて、言われるがままに発注・在庫管理の修行に出ることになった。

■日々の発注のシビアな経験

発注・在庫管理の仕事は、まず朝の在庫確認から始まる。その当時はいわれるがままに食品庫や冷蔵庫の棚にある食材の箱や個数を数えてカウント用紙に数を転記していたのだが、最初のうちはその作業が何を意味しているのか、どれだけ重要な作業なのかも全くわかっていなかった。この時やっていた仕事はいわゆる「日々の棚卸業務」であり、そのあとの発注業務につながる大切な作業だったわけだが、最初はただただ間違えがないようにカウントすることだけを意識して黙々と作業をしていたように思う。

次に、朝にカウントした在庫数を元にして、翌日納品分の数の発注を行う。発注は当日の在庫数と当日+翌日の出数を予測して、それに対して過不足がないような数を見極めて発注数を決定しないといけない。毎日12時までに翌日納品分の発注入力を済ませないといけないため、午前中はこの作業を間に合わせるために毎日必死だった。
発注数量の決定は、食材によってタイプが異なる。比較的賞味期限が長い食材であれば、それほど気を遣わずに決められた定数を満たすように追加の発注数量を機械的に決めれば良かったが、賞味期限が短い食材(主に生鮮品)は過剰に発注してしまうと消費しきれずに廃棄となってしまう恐れがあり、出数予測とそれに基づく発注数量の決定には非常に神経を使った。それでも予想が外れて賞味期限切れによる廃棄を出してしまったり、逆に出数が伸びて食材が不足してしまうこともしばしば起きてしまった。

社会人になったばかりの自分にとってこの発注作業は非常にプレッシャーが大きい仕事であり、日々胃が痛い思いをしながら作業に取り組んでいたし、休みの日でも前日の自分の発注が問題なかったのかどうかが気になって仕方ない日も多々あった。
しかし、この経験が後々の自分のキャリアの土台になったことは間違いない。社会人のスタートの時点で、適正に在庫を管理することの大切さ、難しさを経験して、それが店舗の商売、引いては最終的に会社全体の業績にどのような影響を与えるのかを感覚的に知ったことが、のちの自分のキャリア形成に大きく役立ったことを思うと、最初にこの業務を務めためぐり合わせに対して今でも感謝している。